第41回西部地区中学校野球大会結果報告
野球
一回戦 浜北北部 0-2 浜松開誠館 【開】牧-増田 【三塁打】増谷
二回戦 磐田東 4-2 浜松開誠館 【開】牧-増田 【三塁打】石野、渥美
西部大会に4年ぶり4回目の出場を果たし、開会式の入場行進も堂々と行うことができました。県大会出場という目標への二度目の挑戦でしたが、あと一歩届かずでした。11月にはSBS大会が始まります。SBS大会では今までの経験を活かし、是非とも目標を達成してもらいたいと思います。
【戦評①浜北北部戦】
初回、二死から三番牧(二年:砂丘小出身)、四番半田(二年:広沢小出身)、五番増田(二年:浜松北小出身)の三連打で満塁にするも無得点。二回も二死から九番渥美(二年:浅間小出身)がヒットで出塁し、その後満塁と攻め立てたが、あと一本が出ず無得点。二回までに4安打6残塁で攻めていながら点数がとれないという少しついていない感じがあった。しかし、先発した牧は安定した投球をし、嫌な空気を感じさせない内容で、三塁を踏ませなかった。
4回表、開誠館の攻撃。一死二塁から一番増谷(二年:浜松東小出身)が左中間を破る先制三塁打を放った。続く二番佐藤(二年:芳川小出身)の時にスクイズを決め、このイニングに奪った二点をリードしたまま逃げ切った。
完勝という内容だったが、実は大切なプレーが二つあった。浜北北部は少ないチャンスを生かそうと二度ほど盗塁を仕掛けてきたが捕手の増田が素早く正確な送球をし相手のチャンスの芽を摘んだ。点数が取れそうで取れないという嫌な流れの中で相手にチャンスの芽を広げられたら何が起こるかわからなかった。増田は決して強肩ではない。しかし、スローイングが正確で捕ってから素早く送球ができる。捕手のスローイングで大事なことは正確さ、速さ、強さの順だ。強さばかり目がいって、盗塁できる、できないを判断する人がいると思うが、いくら強くてもベースから送球がそれればアウトにすることが難しくなる。もちろん、投手との連携も必要だが、増田はスローイングで大切な要素を二つも持っており、盗塁がしにくい捕手だ。この試合、表のヒーローが増谷なら、影のヒーローは増田だと私は思う。
【戦評②磐田東戦】
磐田東との二回戦。厳しい戦いが予想された。磐田東の選手たちは身体も大きくパワーもあり打撃戦の予感があった。この試合は打ち勝たないといけない試合だと思った。
3回裏、磐田東の攻撃。一死一塁で一番打者を迎えた。一番打者は痛烈な当たりをライト頭上に放ち先制三塁打。その後、走者を二人置いて三番打者がセンターの頭上を越す三点本塁打を放って一気に四点を献上した。打たれて取られたのだから仕方がないと思うかもしれないが、私は防げた四点だと思っている。野手のポジショニングについて語ると結果論だという人がいるが、いるべきところに野手はいなくてはいけない。様々な材料を駆使してどこに打球が飛んでくるのかを予想しながら、何を優先すべきなのかを考え、守備位置をとるのが普通だ。打球が飛んでくる可能性が極めて低いゾーンをカバーする必要はないし、最優先しなければいけないことに合わせて守備位置をとらなければいけない。この場合、当然長打警戒を最優先し、外野手は定位置よりも後ろに守っていなければいけなかった。細かいことかもしれないが、そのちょっとした判断をミスしたことが敗因となった。元サッカー日本代表監督の岡田武史氏もある番組で「勝負の神様は細部に宿る」と言っていた。結局、レベルが上がり試合の勝ち負けを決定づけるのは、ちょっとした細かいところだということだ。
負けた試合には必ず理由がある。トーナメントを勝ち進み、力が拮抗すればするほどスコアブックにのらないような細かいところがしっかりできたか、できなかったかで、勝ち続けることができるチームと「惜しい試合だったね」で終わるチームとの差が生まれると思う。
最終回、開誠館は六番石野(二年:瑞穂小出身)がレフトオーバーの三塁打、九番渥美がライト線に三塁打を放ち一点を返した。続く一番増谷も一二塁間を破る適時打を放ち二点差に迫ったがここまでだった。中学野球にはライトゴロがある。増谷の速い打球でライトゴロにならなかったのは、磐田東のライトが長打を警戒し後ろに下がっていたからだ。もし、外野を越され長打が出た場合、次の打者の安打で三点目が入り中軸を迎えることになる。磐田東の守備陣は、そのことを考え三点目をとられるのを警戒し、もちろん打者が増谷ということもあってだと思うが深めの守備だった。磐田東の守備位置が直接勝敗には関係しなかったが、そんな細かい所をしっかりと考えて準備できていたか、できていなかったかの差を見た気がした。
次はSBS大会。県大会出場という目標を掲げ、それに向かって一生懸命取り組んできた選手たち。是非、その目標を達成してもらいたい。目標は達成してこそ価値が生まれると私は思う。「目標を掲げ、達成できなくてもそれに向かって頑張ればいいじゃないか」という思いが最初からあるようでは、目標は到底達成できない。そんな高すぎる目標なら掲げない方がましだ。「目標は掲げたら何が何でも達成する」そんな強い思いがチームのレベルを上げてくれるのだと思う。