高校校長だより:4月号(入学式式辞)
日常の風景
今年度より高校校長に就任いたしました永井靖と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
4月5日に始業式、6日に入学式を行い、今週に入って校内は活気に満ち溢れております。
今回は、入学式の式辞を掲載いたします。
平成三十年度入学式 式辞
桜の季節も見頃を過ぎ、新緑の瑞々しさに心躍るこの良き日に、多くのご来賓、ならびに保護者のみなさまのご臨席のもと、第21回入学式を挙行できますことを、心より感謝申し上げます。
新入生のみなさん、90年を超える伝統の中にも、勢いと新しいうねりを作り上げ、文武ともに大きく飛躍を続ける浜松開誠館へのご入学、おめでとうございます。そして、何より、浜松開誠館として20周年を迎えた節目の年に、この学び舎で共に過ごせることを教職員一同、心より歓迎いたします。
本校は、校名変更をともなう学校改革を高林一文理事長が断行され、20年前の平成10年4月に、浜松開誠館中学校・高等学校として一新スタートしました。以来、評価を高め、難関大学への合格から、地元優良企業への就職、さらにはプロスポーツ選手の誕生など、様々な分野で活躍する浜松開誠館卒業生を輩出してきました。
自分の可能性を信じ、諦めずにチャレンジしていくのが、本校の生徒たちの姿です。引かれたレールを誰かに引っ張ってもらうのではなく、自らがエンジンとなり、自分の意志で前に進むことができるよう、応援していきたいと考えています。そのためには、皆さん自身にも覚悟と前向きな気持ちが必要です。今日から始まる皆さんにとっての持ち時間は、長いようで、あっと言う間です。自分に何が必要なのか、或いはどこをめざしたいのか――。
本校では、「学校は楽しく学ぶ場」という教育理念を掲げていますが、「楽しむ」とは、まさに自分の心の持ち方次第です。「学ぶ」ことの本質は、新しい気づきを得ることです。今までなかった、自分自身への気づきを得る喜びを、是非この3年間に味わって欲しいと思います。
そしてもう一つ、みなさんが節目となるのは、高校入学生の皆さんが高大接続改革や大学新テストをはじめとした国の大きな教育改革の対象となる、初めての学年であるということです。
本校では、こうした動きへの対応として、すでに4年前より準備を進め、今後の変化の激しい世の中においても、一歩踏み出す力を持った生徒を育てるべく、「浜松開誠館の未来戦略教育」としてすでに他に先駆けて教育活動に取り組んできました。
この「未来戦略教育」では、徳育教育を柱に据えて皆さんの人間軸や行動の基準となる「ものの見方」や「心の豊かさ」をしっかりと育てます。その上で、昨年度よりこの地域で初めてiPadを全員導入し、ICT機器を授業に活用して対話力や知識の運用力を高めてきました。さらに、「ふじのくにグローバルハイスクール」の指定やネイティブ専任教員の配置など、この地域でもっとも進んだグローバル教育を通して、みなさんの多様な価値観や協働性を育てていきます。
これからの社会では、正解は一つとは限りません。あるいは、正解すらないということもあるかも知れません。こうしたことへの備えとして、視野を広く持ち、自分だけの常識を疑い、他人との違いを受け入れる柔軟性と逆境力、素直さを、本校での学びを通して備えて欲しいと思います。
そのためには、みなさん自身が心を開くことが重要です。ルールを守り、他人を尊重し、そして高めあうということです。わがままは自主性・個性ではありません。ましてや多様性を排除するいじめは絶対に認めません。秩序ある中での自主性を、存分に発揮して欲しいと思います。
さて、保護者の皆様、あらためてお子様のご入学、おめでとうございます。また、本校の教育方針をご理解頂きまことにありがとうございます。皆様に一つお願いを申し上げます。人を育てると言うことは、学校だけで出来るものではありません。お子様の成長には、学校と家庭が互いに連携し、協力していくことが不可欠です。
本校では「愛情教育」を本年度の大きなテーマとして理事長以下教職員全員が捉え、教育活動を行ってまいります。「愛情教育」とは、甘やかすことではありません。「厳しさの中にも、情熱と愛のある指導」と考えております。社会を見据えた集団生活の中でお子様の成長を促すに当たり、時には厳しい声かけや、突き放すかのように見える指導も有ろうかと思います。そういう場面におきましても、本校教育方針にご信頼頂き、お子様自身の考えや行動によって試練を乗り越えられるよう、一歩後ろから成長を見守っていただければと存じます。あわせて、お子様が健康で規則正しい生活を送れるようサポートしていただきますようお願い申し上げます。
結びにあたりまして、新たに高校生となるみなさんは、義務教育を終え、自らの意志で、浜松開誠館高等学校で学ぶことを決意して、いま、ここにいます。その決意と新たな気持ちを胸にしっかりと刻み、有意義な高校生活を送ることを期待しつつ、式辞と致します。
平成30年4月6日 浜松開誠館高等学校 校長 永井 靖