高校校長だより:7月号
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1学期 終了式 訓話(式辞)
終了式に際して、3か月半 生徒のみなさんや教職員の方々を見てきて、感想を最初に述べます。
生徒のみなさんの日頃の挨拶はおよそできています。立ち止まり挨拶は10人に一人ぐらい。真澄祭、サッカーの決勝、野球部の開幕戦などでの様子は一生懸命であることがよくわかりました。応援団も少ない部員でよく頑張りました。素晴らしいことです。生徒のみなさんと教職員のみなさんが一体となって取り組むともっと良いものになると思います。また、これから、県、東海、全国大会と続きますがベストを尽くしてください。
開誠館の先生方はとても生徒思いでよく面倒を見られています。特に、よくない行為をした生徒やその保護者に対しての真摯な態度は賞されるものです。そんな中で、生徒のみなさんは勉学や運動に励むことができとても幸せだと思います。皆さん、先生方への感謝も忘れないでください。校長として、みなさんひとりひとりが、徳育を学び文武両道ができる生徒へとなるよう、全力で教職員とともに支援をしていきたいと思います。
今日は、「心の筋トレ」=「感性の筋トレ」と「学ぶということの意味」について、話をします。
今年の2月16日発行の『みやざき中央新聞』2589号で、人とホスピタリティ研究所所長の高野登さんが以下のようなお話を紹介します。 人が働く理由として、究極的には仕事を通して幸せを求めているからだと思います。ある一部上場企業では、3年以内に新入社員の22%が辞めていくそうです。会社のブランドも、給与的にも決して悪くないはずですが、辞める人が後を絶たない。 その理由は簡単です。そこにいることが幸せではないからです。会社ができる社員に対しての最高のホスピタリティは「生きがい」と「働きがい」を感じさせてあげることです。
「ホスピタリティ」とは、「思いやり」「心からのおもてなし」という意味です。サービス業のみならず、最近では医療現場などでも頻繁にその言葉が使われるようになりました。形や行動などで示す「マナー」は相手に不快感を与えないための最低限のルールです。しかし、そこに「心」が加わると、「ホスピタリティ」になります。深い心地良さが加わることで、信頼、安心感そして感動が生まれます。
「生きがい」と「働きがい」を感じさせてあげることで、少しぐらい満足できない状況にあったとしても、「この会社には君が必要だ」と言われたら、この会社でもうちょっと頑張ろうというスイッチが入ります。君たち生徒にとっては、この学校で、このクラスで、この部活動で、頑張ろうということになります。 この「もうちょっと」が「心の筋トレ」、「感性の筋トレ」に繋がります。この筋トレをすることで接客の時にお客様の気持ちがわかるようになったり、お客様に近づけるようになったりなります。皆さんの大事な時・チャンスの時も同じことが起きるでしょう。 また、毎日心を磨いていないと、心の柔らかさは失われていきます。すると、忍耐強さがなくなり、人のことが許せなくなっていきます。だから「心の筋トレ」は続けることが大切なのです。体を鍛えることと同じことです。運動で鍛えることと同じように「こころ」を鍛える、鍛え続けることが大切です。長い夏休みは鍛えがいのある時期です。人はたやすいことや楽なことではこころは成長しません。上り坂道でダッシュをすることによって足腰が鍛えられるように、志を高く持ち、毎日すべきことをし続けることが「こころ」を鍛えることになります。このような考えで、過ごす夏があってもよいのではないでしょうか。
人は、ほんのちょっとした言葉で、生きがいを感じ、この人についていこうと思ったり、頑張ってみようと思えたりするものです。そして、少々苦労することがあっても、頑張っているうちに、いつの間にか心が鍛えられていくのです。心の筋トレで、人を許せる人になりたいものです。学び続ける人になりたいものです。
次に、「学ぶということ」の意味を伝えます。
ひとは 楽しく学ばなければ、本物でない
真剣に学ばなければ、本物と出会えない
深く学ばなければ、本物にならない
絶えず学び続けなければ、身につかない
学ぶということは生きること
広く、深く、強くなるために学ぶ
これは、数学者の弘中平祐氏の言葉です。
以上、1学期の終業式の話とします。
浜松開誠館高等学校 校長 中西孝徳