令和2年度 浜松地区中学校夏季総合体育大会野球競技の部 結果報告
部活動
令和2年度 浜松地区中学校夏季総合体育大会野球競技の部
【二 回 戦】丸塚3-6浜松開誠館 【開】大場、赤尾-谷口 【本塁打】本多(駿)【二塁打】大場
【三 回 戦】湖西0-2浜松開誠館 【開】大場、赤尾、森-谷口【二塁打】鈴木(爽)
【準々決勝】天竜1-0浜松開誠館 【開】大場、赤尾、森-谷口 【三塁打】赤尾
【夏季総合体育大会①:丸塚戦】
今大会、開誠館の初戦(二回戦)の相手は丸塚中学で、いきなり難敵だった。そんな不安を1番本多(駿)(三年:飯田小出身)が先頭打者ホームランをライトに放ち払拭する。3回表の攻撃では四球とヒットなどで無死二三塁とし、3番室田(三年:城北小出身)が二点適時打をセンター前に弾き返し3-0とリードを広げた。
3-3の同点で迎えた7回表、開誠館の攻撃。二死満塁から8番鈴木(爽)(三年:篠原小出身)が三遊間を抜くタイムリーヒットを放ち勝ち越し。そのまま逃げ切った。先発した開誠館の主戦大場(三年:浅間小出身)は、4回裏に同点とされるスリーランホームランを丸塚の四番打者に放たれたが、抜群のコントロールでテンポ良く投げ込み、5回を被安打2、奪三振4、無四球という内容でホームランを除けば、ほぼ完璧な内容だった。
【夏季総合体育大会②:湖西戦】
三回戦は湖西中学だった。チャンスは作るもののあと一本が出ず、3回までで残塁5。湖西の左腕投手に要所を締められていた。4回裏に相手のミスをつき、ノーヒットで1点を先制するも苦しい展開が続いたが、6回裏の攻撃で二死二塁から8番鈴木(爽)がレフトオーバーの適時二塁打を放ち、欲しかった追加点を挙げた。最終回に登板した森(三年:浜松西小出身)は、抜群の安定感で打者三人をしっかりと抑え勝利した。
【夏季総合体育大会③:天竜戦】
準々決勝の相手は天竜中学。過去の練習試合においては五分と五分。お互い、手の内もわかっている相手で、試合は、予想通り1点を争う緊迫した内容になった。
3回表の天竜中学の攻撃。2本の二塁打を放たれ1点を先制される。しかし、その後の追加点を許さず、被安打もこのイニングに放たれた2本だけだった。開誠館の誇る大場、赤尾(三年:龍禅寺小出身)、森の三人の投手が、それぞれ持ち味を発揮した結果だった。捕手谷口(三年:城北小出身)のファインプレーもチームを活気づけた・・・。この守りのリズムが、最終回の攻撃につながり、大きなチャンスをつくり出すのである。
開誠館は1点を追う7回裏の攻撃。ここまでヒットは4番本多(優)(三年:飯田小出身)のレフト線に放ったわずか1本だった。しかし、この回先頭の二番赤尾が、もう少しでホームランとなる大飛球をライトへ放ち、これが三塁打となって出塁する。無死三塁。その後、一死二三塁となり、一打逆転サヨナラの好機をつくって開誠館らしく超攻撃的に攻め立てたものの、あと一歩及ばず惜敗した。
【夏季総合体育大会を終えて思うこと・・・】
下河邉監督は試合後、保護者の前で「試合で負けたのはすべて監督の責任。頑張った選手たちに労いの言葉をかけて欲しい。」そのような内容の話をした。非常に重みのある言葉だった。下河邉監督は選手を信頼し采配を振るうタイプの監督である。二回戦の丸塚戦でも最終回、二死満塁の場面で、それまで全くタイミングが合っていなかった8番打者の鈴木(爽)に、代打を送る素振りすら見せなかった。鈴木(爽)はその信頼に応え、勝ち越しのタイムリーを放ち、見事勝利につなげた・・・。普段は厳しく妥協しない指導スタンスを貫くも、最後の最後は選手を信頼して送り出す。その指導の根底には「勝てば選手のおかげ。負ければ監督の責任。」という覚悟があるからなのだ・・・・。
監督の教えは、選手一人一人に本当に良く伝わっている。実は最終回、赤尾が放った一打を“もう少しでホームランとなる大飛球”と書いたが、私からはライトフェンスを越えたように見えた。試合後、赤尾に「ナイス、ホームラン」と声をかけたが、赤尾は私が指し出した手をただ、だまって握ってくれた。普通なら「あれ、入ってましたよね?」ぐらい言いそうなものだが、赤尾は何も言わなかった・・・。言い訳を絶対に許さない監督の教えを赤尾は私に教えてくれたのだと思った。
帰りのバスの中でもそのことを感じた。三年生から一、二年生に贈られた言葉はどれもこれも「学校生活をしっかりと送ること」だった。口を酸っぱくして監督を初めコーチの服部先生、山本先生が言ってきたことである。この中学三年間はほとんどの生徒が何かしらの部活動に参加しているが、部活動に参加していることが大切なのではなく、部活動を通じて何を学んだのかがとても大切なのだと思う。その発表の場はグラウンドの中だけにあるわけではない。普段の日常の生活そのものが発表の場なのだと思う。今大会で思ったようなプレーができなかった選手もいたかもしれないが、堂々と胸を張って欲しい。二年半、一生懸命取り組んできた事実とかけがえのないものを得たという事実は変わらないのだから・・・。
勝っても負けても今日で終わり。最初から終わりが決まっている大会に臨むのはもちろん初めての経験だった。できれば勝って笑顔で終わりたい・・・。それはあの会場にいた全員の想いだったと思う。新型コロナの影響が出始める前と後では、選手のモチベーションやチーム状態のことを考えると、ここまで来るのは容易ではなかったはずである。そんな状況の中で最後までやりきれた裏には、父母会の皆様の支えがあったからなのだと思う。そのことを強く感じていたのは監督をはじめ、コーチの服部先生、山本先生たちだった。だからこそみなさんの想いに勝って応えたかったに違いない。保護者の前で深々と頭を下げたその姿勢にそんな人としての想いを感じずにはいられなかったのである・・・。
いよいよ新チームがスタートする。先輩たちが一つ一つ積み重ねてきた伝統にさらなる歴史を刻んで欲しい。手前味噌だが、今大会、私が目にしたチームの中で、開誠館の選手たちが一番きびきび行動をしていた。それもまた、「愛される野球部」を目指し活動を続けてきた、伝統の一つの姿なのである・・・。