第51回しんきんカップ静岡県中学選抜野球大会結果報告
部活動
第51回静岡県中学選抜野球大会
【1回戦】島田一・二・北 6-7× 浜松開誠館 〇
【開】楠、鈴木(心)、長津、鈴木(心)-西本
【三塁打】鈴木(瑛)【二塁打】鈴木(瑛)、長津、齋藤、鈴木(陽)
【2回戦】藤枝高洲 5-3 浜松開誠館 ●
【開】楠、長津-西本
【三塁打】鈴木(瑛) 【二塁打】鈴木(心)2
【戦評:島田一・二・北戦】
2020年2月に県中学選抜野球大会開幕戦で逆転サヨナラ勝ちをした。その後、コロナ禍で二回戦以降行われず中止。昨年の続きをしに一、二年生たちが戻ってきた・・・。そう考えると感慨深いモノを感じずにはいられなかった・・・。
もちろん、今大会も中止の可能性は少なからずあったと思う。一月、緊急事態宣言が出され、静岡県の警戒レベルも5。しかし、多くの大会関係者たちの思い、努力があって開催につながった。朝早くから役員の方々が準備している様子や入場制限、検温などしっかりとした対策が施されているのを見ると容易にそのことが想像できた。感謝、感謝・・・その言葉につきる。大会関係者の皆様方が大会を開催して良かったと思えるような選手たちのハツラツとしたプレーを期待するのである。
一回戦は島田一・二・北の合同チーム。バッテリーを中心に堅実な守備と相手が嫌がる攻撃を行うチームだった。投手の投球制限のある中、どの打者も決して強振せず、待球、ファールで粘る、ゴロ打ちが徹底され、チャンスを作れば打者は確実に転がし得点につなげていく。開誠館は自分たちのリズムを作れず、ジワジワとダメージを与えられ、六回表の終了時点で6-1。敗色濃厚だった・・・。
六回裏、開誠館の攻撃。一死から6番長津(一年:可美小出身)がレフト越え二塁打を放つと、そこから静かに怒濤の攻撃が始まっていく・・・。二死一・二塁となって9番齋藤(一年:有玉小出身)がレフト線に二点タイムリーとなる二塁打を放ち6-3。1番鈴木(瑛)(一年:有玉小出身)も二塁打で続き6-4。2番楠(二年:中部小出身)は四球でつなぎ、WPもあって二死二・三塁から3番松原(一年:浜松西小出身)がこの試合自身三本目の安打放ち、6-5。なお二・三塁で4番西本(一年:雄踏小出身)を迎え一打逆転の好機を作った。西本はレフトに大飛球を放ったがレフトの好捕に阻まれ6-5のまま攻撃を終えた。
七回表は長津をリリーフした鈴木(心)(二年:豊田東小出身)がテンポの良い投球で三者凡退に抑え、攻撃と守備をセットにはじめて自分たちのリズムで行えた。この時、試合の流れは開誠館に大きく変わったのである・・・。
七回裏、開誠館の攻撃。先頭の5番鈴木(心)が四球で出塁。7番大井戸(二年:与進北小出身)も粘って四球を選び、一死ながら二・三塁とし、六回に続きまたもや一打逆転の好機を作った。そして、8番打者の所に代打鈴木(陽)(一年:二俣小出身)。鈴木(陽)は左中間に逆転サヨナラ二塁打を放って試合を決めた。逆転サヨナラは昨年の一回戦と同じ。偶然とは言え、不思議な縁を感じたのは私だけではなかったのではないかと思う。
新チーム発足後、下河邉監督、服部、山本コーチはチームとしての「まとまり感」の薄さを危惧していた。秋季大会ブロック決勝、細江戦で、そのまとまり感がはじめて見られ、苦しみながらも勝利することができ、「このチームはまだまだ成長し、強くなる」と感じたという。
オフシーズンを迎え、練習で個に対する比重が高まってくる中、その「まとまり感」を失わせまいと「チーム力とは何か」「チームワークとは何か」と選手たちに大きな課題を投げかけていた。その答えを二年生たちが、この大事な一戦で見せてくれたことに監督たちは喜びと手応えを感じているようだった。大逆転勝利を演出したのは、間違いなく裏役に徹した二年生たちの「気持ち」だったと思う。
帰りのバスの中、下河邉監督は、今日の試合で出場機会がなく悔しい思いをしながらもチームのために声を出し続けた野田(二年:与進小出身)や金原(二年:浜松中部小出身)の存在の大きさに触れ、チームとしてまとまり感を持って戦うことの大切さを改めて選手たちに示した。
「このチームはまだまだ成長し、強くなる」
三年生たちがやり残した大きなモノはこの先にある・・・。