平成29年 全日本少年軟式野球浜松支部予選大会優勝報告
野球
【準決勝】 開 成 2―7 浜松開誠館 〇 【開】牧―増田 【二塁打】増田3、半田、馬場
【決 勝】 佐鳴台 0-1 浜松開誠館 〇 【開】渥美-増田 【本塁打】増田
【戦評・準決勝】
開成は昨年の秋、浜松地区で優勝し今春のSBS大会(県大会)にも出場している。この大会はもちろん第一シードで出場し、かなりの強敵だった。開成の右投手は勢いのあるストレートを低めに集め、スライダーを決め球にしている好投手。ロースコアの展開を予想していたが、3回表に打線が爆発。1番石野(二年:瑞穂小出身)が四球で出塁すると一死から3番牧(二年:砂丘小出身)、4番増田(二年:浜松北小出身)、5番佐藤(二年:芳川小出身)、6番半田(二年:広沢小出身)、7番安田(二年:葵西小出身)、8番馬場(一年:白脇小出身)の長短合わせて6連打を集中し、一挙6点を奪い試合を決めた。そして、4番増田はこの試合4打数3安打、二塁打三本の爆発ぶりで4番としての存在感を十二分に見せつける活躍だった。
【戦評・決勝】
決勝の相手は佐鳴台。昨年秋季大会の準々決勝で左投手に完封され、県大会出場の目標を絶たれた相手。今回、どんな形で攻略するのか非常に楽しみだった。2回裏、開誠館の攻撃。先頭の4番増田が初球、中に入ってきたストレートを振り切り、天竜中学のライトフェンスを大きく超える特大のホームランを放った。この一打の凄さは、ライト線に真っすぐ上がりそのまま切れずに飛んだことにある。普通なら切れてファールになってしまうところだが、高い打撃技術を証明するもの凄い一打だった。この一点を開誠館は死守し、創部初となる優勝を決めたのである。
佐鳴台の左投手を攻略できたのか、と言えば残念ながら答えはノーである。放った安打は増田の本塁打と右中間安打の2本のみ。今回も攻略できなかった。しかし、明らかに前回とは打撃の内容が違っていた。前回は高めに差し込まれ、低めをひっかけるという凡打を繰り返していたが、今回はしっかり振りに行っているケースが多かった。もうひと工夫で攻略できる所まできたと思う。次に当たる時は、今回足りなかった「もうひと工夫」を行い、しっかりと攻略したという結果を見せてもらいたい。
今回、佐鳴台の攻撃を零封できたのは、攻撃的な守備が一つの要因として挙げられる。もちろん、先発した渥美もよく投げ切った。昨年と比較しても精神的成長を感じ、投げ切れた理由も納得がいく。
さて、攻撃的な守備とは何だろうか?
まず、初回の守り。一死一塁の場面。3番打者が一二塁間にゴロを打った。二塁手の石野は周り込み二塁に送球しフォースアウトをとった。打球も速いゴロではなく送球も逆モーションになる。一塁走者とセカンドベースがかぶり非常に難しい。送球ミスが出やすいケースだ。無理せず一塁に送球し二死二塁でも良しとする人も多いだろう。しかし、石野はスキを相手に与えなかった。簡単にスコアリングポジションに行かせまいとする積極的な守備をしたと思う。
次は5回表。無死満塁で2番打者。カウントもスリーボール、ツーストライクの場面。渥美がよく投げ切ったと称賛されたのもこのケースを乗り切ったからである。2番打者はボテボテのサードゴロ。三塁手の半田は捕手が捕ってから投げやすい位置に送球し、捕手も打者走者が目に入り送球ミスが出やすい所をしっかりと正確な送球で投げ切りホームゲッツーを完成。その後、二死三塁で左の三番打者がボテボテのセカンドゴロを放つも、またもや二塁手、石野が反応よく前に突っ込み、ショートバウンドギリギリの位置で捕球し、間一髪、打者走者をアウトに捕った。
さらに最終回の守備。一死から8番打者がファースト後方のファールゾーンにフライを打ち上げた。ライト、セカンド、ファーストが追いかけ非常に難しい位置に打球が落ちそうになったが、ライトの安田が最後まで追い切りセカンドと衝突しながらもボールを落とさなかった。もちろん声をかけてという話に当然なるのだが、そのことを差し引いてもセカンドが追ってくる恐怖を思えば捕りに行くのを辞めるのもありだったろう。このアウトにより二死無走者で9番打者を迎えることができた。
このような守備が私が攻撃的な守備と感じた所である。なぜなら、安全策を取ってやめようと思えばやめられたプレーだからだ。指導者の方針にもよる所なのかもしれないが、この時の選手たちが失敗を恐れずこのような攻撃的な守備を見せられたのは、日頃の指導者の方針と選手の練習に対する取り組む姿勢が伺えたのではないかと思う。結果的に、この守備力がチームを優勝に導いたと言っていいだろう。
浜松地区の1位として次のブロック大会に出場する。今、チームは強くなっている途中だ。一試合一試合、勝つごとにチームとして力をつけている。もっともっと強くなろう。その一番の近道は公式戦で勝ち続けることだ。ブロック大会においても快進撃を期待する。