第11回レワード杯浜松地区中学校野球大会三回戦、準々決勝結果報告
野球
第11回レワード杯浜松地区中学校野球大会三回戦、準々決勝結果
【三回戦】
中郡0-5開誠館 〇 【開】牧-増田 【本塁打】半田 【二塁打】増谷、増田
【準々決勝】
引佐南部3―6開誠館(延長9回、特別ルール)〇 【開】渥美―増田 【二塁打】馬場
【三回戦、戦評】
開誠館の先発は牧(三年:砂丘小出身)。4月の県大会以来、はじめて公式戦のマウンドに上がった。この試合の牧はフォームに力みがなく、コントロールも安定しており、本来の投球スタイルを見せ、1安打完封で上々の出来だった。
打撃陣は、4回表に先頭の4番半田(三年:広沢小出身)がレフトフェンス越えの特大本塁打を放って先制。その後、四球で出塁した佐藤(三年:芳川小出身)を一塁に置いて、6番増田(三年:浜松北小出身)が右中間に二塁打を放ち、無死二三塁とチャンスを広げ、8番馬場(二年:白脇小出身)がスクイズを決め二点目。5回には2番増谷(三年:浜松東小出身)が一死から右中間に二塁打を放ち、WP二つで三点目。6回、7回も四球、失策、盗塁、スクイズなどで無安打でそれぞれ1点ずつを加え合計五点を奪った。相手のミスを確実に点に結び付け快勝した試合だった。
【準々決勝、戦評】
準々決勝の相手は引佐南部。三回戦の試合を見た印象だと打撃も守備も鍛えられており、接戦になる予感はあった。開誠館の先発は渥美(三年:浅間小出身)。今大会背番号1番を背負い二試合目の登板。初回、三者凡退で打ち取った内容から、前回の笠井戦よりも数段調子を上げていることがわかった。テンポもよく、7回までで打たれた安打は散発の3。特別延長に入った8回もショートの内野安打一本に抑え、絶体絶命のピンチをしのいだ。特別延長2イニングス目も中軸から始まる打線だったが、一本のヒットも許さず、9回を完投しチームを勝利に導いた。もしプロ野球みたいにお立ち台があるとすれば、今日のヒーローは渥美だろう。それぐらい素晴らしい投球内容だった。
一方、攻撃陣は引佐南部の左投手に苦しめられ、6回まで無安打。コーナーにストレートと変化球を投げ分けられる好投手だった。このような場合、すべてのボールを追いかけても投手の術中にはまるだけで結果はよくない。バットを短く持って内側を狙うのか、踏み込みを強くして外のボールを狙うのか追い込まれる前に狙い球をはっきりさせたほうがいい。
7回表、先頭の6番増田がレフトにようやくチーム初安打を放った。前の二打席凡退の結果を踏まえ狙い球を絞って打ちに行ったのではないかと思われる。特別ルールに入った9回にも一死満塁から増田は外側のボールをしっかりと振り抜き、三遊間を抜くタイムリーヒットを放った。それをレフトが後逸して走者一掃となり、これが決勝点となった。
この試合、勝負所での守備力が勝敗の明暗を分けたのだが、チーム一丸となってメンタル勝負に勝ったのだと思っている。
特別ルールによる延長一イニングス目。無死満塁からのスタート。開誠館は先攻で最低でも2点以上は取りたい所だったが、増谷のセンターに抜けるタイムリーヒットの1点しか奪えず、状況はかなり不利だった。しかし、選手たちは、みんなで声を掛け合い、その不利な状況を感じさせない雰囲気作りをしていた。
その裏、引佐南部はいきなりスクイズを仕掛けてきた。しかし、投手の渥美が好フィルディングを見せ、ホームホースアウト。次の1番打者もショートゴロでホームホースアウト。二死満塁から2番打者が三遊間にヒット性の当たりを三遊間に放ったが、ショートの増谷が飛びついて止め、二塁走者をホームに帰らせず、1点に凌いだ。1対1の同点。
特別ルールによる延長二イニングス目。一死後、5番佐藤のサードゴロを三塁手がファンブルし、まず1点。6番増田は前述したとおり、レフトにタイムリーヒットを放つもレフトが後逸し走者一掃となって5点目。一死三塁から7番安田(三年:葵西小出身)のラインぎりぎりに転がるスクイズの打球を一塁手が触り、6点目を奪った。
開誠館の選手たちは本当に落ち着いてプレーをしていたと思う。淡々と自分たちのやれることをし、ミスが出ても次のプレーを大事にしていた。勝負所で自分たちの力を出せることは普通に考えるよりも簡単なことではない。メンタルという大きな壁が邪魔をするからだ。この試合、ベンチにいる選手たちも、とにかくよく声をかけていた。ただ声を出すのとは違う。かける声には意味があり、想いがある。チームみんなでとてつもなく大きな壁を乗り越えたのだと思う。
昨年度のキャプテンはとても勝負強い選手だった。ここ一番で必ずと言っていいほど結果を出した。彼はチームが不利な状況であっても率先して声をかけ、雰囲気を悪くしないようにしていたことを思い出す。その精神を後輩たちが受け継いでいたのだと思うと胸が熱くなる。もしかしたら彼もまた、先輩たちからその精神を受け継いでいたのかもしれない。受け継がれる伝統の強みはここにあるのだと改めて思うのである。
次の準決勝の相手は開成中である。過去に二度対戦し二度とも勝利しているが、お互い情報もあり今まで以上に苦しい戦いになるだろう。しかし、今回のようにチーム一丸となって戦えば必ず勝機はある。チーム力勝負でまた一つ、白星を積み重ねて欲しい。そして、レワード杯初制覇へ・・・。