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高校校長 1月号 3学期始業式 式辞

学校行事

平成28年度 3学期始業式 式辞

 新年あけましておめでとうございます

 3学期が始まりました。3つの話をします。

1 昨年12月の挨拶運動「あいさつ名人カード」の結果を発表します。

クラスの部 中学 1位 中2A 高校 1位 高3A

個人の部  中学 中1C 山口大和君  高校 高1A 木下ルイス君 

 呼ばれたクラス、生徒、担任の先生は立ってください。よく頑張りました。皆さん握手でたたえてください。順位はカード総数をクラス生徒数で割ったポイントで決めました。詳細は職員室や先生方のiPadに掲示します。

 さて、今年の重点目標は、「あいさつ=立ち止まり礼」と「1日1回は感謝しよう」でした。挨拶運動の表彰のねらいは、目標の立ち止まり礼を一人ひとりが行うことです。3学期は「挨拶の学校=浜松開誠館中学校・高等学校」になるように、全生徒・全教職員みんなで、さらにしっかりとやりましょう。

2 昨年暮れのウインターカップで本校の女子バスケット部が大躍進し全国ベスト8になりました。私も、3回戦と準々決勝の応援に駆けつけました。部員全員や顧問先生方が本当によく頑張りました。高校サッカー部のプレミアムリーグ参入戦、惜しくも負けてしまいましたが、よく頑張りました。本校の新しい歴史をつくってくれました。学園、学校としてうれしく思っています。また、PTA、後援会、同窓会から多額の支援をいただいたことをお伝えします。

3 2つのことを話します。

 -1 1つ目は、1年の計と酉年の話です。

 短い冬休みを終え、どのように過ごしましたか?計画通り進みましたか?計画以上にできましたか?中学1年生は、小学校以来7回目、高校3年生は12回目の冬休みでした。さらなる成長をするのであれば、今日から一層、毎日を大切に生きることです。

 今年は酉年です。「酉」は酒器を表す象形文字ですが、 転じて酒器の中の酒が芳香を放って、口からあふれる。 熟して、頂点まで極まった状態だということです。昨年までの積み重ねの上に、今年、自分の力を発揮する年と考えます。その力を十分に発揮するために、年の初めにあたりしっかりとした「今年の方向性と心構え」=「一年の計」を作って、新たな挑戦を共にしていきたいものです。

 -2 2つ目は、環境と遺伝子の動きです。

 雑誌PHP1月号の分子生物学者村上和夫先生の「未来への道しるべ」を紹介します。*心の持ち方で、いい遺伝子はオンになる。

 村上和夫先生は、高血圧を引き起こす原因となる酵素「ヒト・レニン」の遺伝子解読に成功され、世界的な業績として注目を集められ、また、イネの全遺伝子暗号解読のリーダーとして活躍された。筑波大学名誉教授。1936年奈良県生まれ。

 ヒトの遺伝情報が、2003年、世界で数千億円の費用と世界の何千人の科学者によって解明されました。今では、十万円台で自分の遺伝情報がわかる時代です。ICチップにいれた遺伝情報をお医者さんにもっていけば、「あなたにはこの薬が効く」「この治療法がいい」と、その人に最適なオーダーメイドの治療ができるようになって来ました。進歩とは変化するということです。「科学的に正しい」と言われれば、反論できないと思うかもしれません。しかし、それはその時点での「正しい」であって、明日は変わるかわからない。

 我々の脳は、歳とともに確実に衰えていくものだと考えられていました。しかし、今では、脳は、何歳になっても発達し続け、生涯現役だということがわかったのです。さらに、脳を動かすのは脳自身ではなく、人の心や意識だということもわかってきました。脳はテレビの受信機のようなもので、それ自体がうったたりドラマを制作したりするわけではなく、制作者は、我々の「思い」です。脳は、その人が「できる」と思ったことしかできないし、「できない」と思っていることはできない。すまり、固定観念で「こんな歳だし、もう無理」などと思い込むから、できないだけであって、脳の可能性には限界はないということです。もちろん、体力にはある程度の限界はありますが、脳に限っていえば、誰でも、何歳になっても進化し続けることができます。悲観してはいけません。

 心や意識の持ち方で変わるのは、遺伝子も同じです。ヒトの全遺伝情報はすでに解読されました。しかし、そのうち遺伝子の働きが確実にわかっているのは、せいぜい2%程度で、あとの98%は、眠っている状態です。その休眠状態の遺伝子のスイッチをオンにすることで、私たちは、別人のようになって、これまでになかった能力を発揮できることもあります。火事の刺激でスイッチが入り、重い荷物を運べてしまう「火事場のバカ力」もその一つでしょう。

 悪いストレスが加われば悪い遺伝子のスイッチがオンになって、病気になる可能性が高くなることはよく知られています。ならば、逆に良いストレスが加わればよい遺伝子が目覚めることもあるはず、その良いストレスとは、感動すること、喜ぶこと、感謝することなどの心や意識の持ち方なのです。さらに、「笑い」がよい遺伝子のスイッチをオンにすることを証明されました。

 我々の目には直接見るこのできない遺伝情報は、体の細胞一つひとつには、30億も詰まっています。1冊1000ページのものが3000冊になる量です。この膨大かつ緻密な設計図を誰が、どのようにして書いたのか、当然、人間自身が書いたわけではありません。村上先生は、それを行った「誰か」のことを、科学の常識を超えた大きな存在として、「サムシング・グレイト(偉大なる何者か)」と名付けられました。心や意識も目に見えません。目に見えないものの中にこそ、実は大切なことがあるではないでしょうか。

 1個の生命細胞が偶然生まれる確率は、1億円の宝くじが百万回連続であたるくらいの、とんでもない希少さだといわれています。そんな狭き門をくぐって私たちは生まれたてきた。それだけでも奇跡のたまものです。その幸運に気づきましょう。人間の遺伝情報は99.5%同じです。他者との差を生むのはわずか0.5%の違い、そんな小さな世界で競うより、命の不思議さや今生きていることへのありがたさに感謝したほうがずっといいのではないでしょうか。それが幸せに生きる秘訣ではないでしょうか。

 村上先生が何度かお会いしたダライ・ラマ氏は、「21世紀は日本の時代」だとおしゃっていたそうです。25人ものノーベル賞受賞者を出したことからもわかるように、日本の科学技術は世界でも群を抜いて素晴らしく、教育・医療水準も非常に高い。さらに、陰徳の心や「おかげさま」と他人や神仏に感謝する謙虚な心、自然を敬う心など、日本人は昔から「サムシング・グレイト」を直感的に理解できる高い精神性を持っていた。こうした。心を超えた魂の豊かさこそ、ダライ・ラマ氏が期待を寄せているものであり、これからの時代、世界に必要とされるものではないでしょうか。

 村上先生は、今80歳、新たな研究テーマは「その魂と遺伝子の関係」だそうです。かって、村上先生の師から「人間が精神的に一番成長するのは75歳から85歳だ」と言われたそうです。村上先生自身は80歳で、まだまだ中間地点、これからが本番といっておられます。

まとめ

 私はことある度に皆さんに言葉の大切さを機会あるごとに話をしてきました。良い言葉、希望や志を言葉にすること、挨拶すること、感謝すること、困難に立ち向かうことなどを互いに励まし合いながら切磋琢磨することによって、良い遺伝子のスイッチがオンになり、今までになかった結果を出すことができます。今生きていることは奇跡の連続であること自覚し、感謝を忘れないことです。つまり、本校の徳育教育を実践すること(心の持ち方や意識)で、いい遺伝子はオンになるということです。今回の式辞も本校のHPに掲載しておきます。また、PHP1月号をぜひ読んでください。

以上、3学期の式辞とします。

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